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村上春樹が死を意識した本

八重洲ブックセンターで総合1位(2015年9月6日~9月12日)の作品です。
 
タイトル 人生の最後を意識した段階で、敢えて、
 
 村上春樹を読み始めたのは1984年ぐらいだ。大学2年生の頃で、まだ村上はカルト作家であった。喫茶店で麦酒を飲みながら読んだことを覚えている。麦酒もバドワイザーハイネケンだった。
れから30年経ったわけだ。その間、僕は、就職し、結婚し、子供を二人授かり、海外に2回住む機会を得た。そうして何より50歳になった。そうして、いまなお村上の新作は読んでいる。僕自身が 村上が本書で感謝している「読者」の一人であるという
自覚を強く感じた次第だ。本書を読んでいて常に思わされたのは「なぜ村上は今本書を出したのか」という点に尽きる。
本書で村上は自身の仕事について実に率直の語っている。小説家としての村上が語るのは「物語」であるが、本作では、一人の社会人としての村上が自身の職業である「小説家」に関して語っている。いや、「自分が小説家であること」という極私的な話を広く僕らに語りかけている。その話は大変示唆に富んでいる一方「なぜ村上は今本書を出したのか」に関しては何も村上は説明していない。それを考えることが本書を読むことではないのか。僕にはそう思える。
僕は、村上が自身の死を意識して本書を書いたと思う。まもなく時間切れになる自身の創作活動を、時間が切れる前に、彼は一度語りたかったのだと思う。あれだけのヒットメーカーでありながら、私生活を見せない村上が、人生の最後を意識した段階で、敢えて、「私生活」をさらけ出してきたという読み方は可能だと思うのだ。
村上はあと何冊書けるのだろうか。コアなファンを自称する僕としては気になるところだがこればかりは分からない。そもそも、僕が先に向こう側に行ってしまう可能性も常にあるわけだし。
 

職業としての小説家 (Switch library)

内容紹介

いま、世界が渇望する稀有な作家──
村上春樹が考える、すべてのテーマが、ここにある。
自伝的なエピソードも豊かに、待望の長編エッセイが、遂に発刊!

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こんばんは、せんべいです。

レビューを読んでいると、予想もしないような言葉に出会います。

今回もしかりです。本作が、村上春樹が自身の死(断筆?)を意識して書いたのではないかという指摘がありました。

 レビューでは根拠もなく、本人の推測にすぎないとは思いますが、まったくの想定外のことでしたので、とても気になるレビューでした。

 

職業としての小説家 (Switch library)

職業としての小説家 (Switch library)